« 池上夫人ご逝去 | メイン | 消えた父を探して »

2006年03月02日

●高砂義勇隊記念碑をめぐる騒動

慰霊碑をめぐり烏来では大変な騒動になった。(千点写行参照

台湾先住民出身の「高砂義勇兵」の戦没者を祭る慰霊碑“撤去”の危機、そして日本からの寄付による移転、落成記念式典が2006/2/8に行われたことは、本ブログに追記したところだ。

そんななか、国会議員で問題ばかり起こしてきた高金素梅が建設手続き上の不備を台北県副県長に抗議した。さらに、抗議を受けた台北県の李鴻源副県長が「県を代表して謝罪し、記念碑の撤去を求めた」というニュースが飛び込んできた。
最初に慰霊碑を建てた周麗梅さんのご子息、マカイ・リムイさん、そして義勇隊紀念協会は、「子孫へ語り継ぐ歴史の重要性を強調し、県政府による撤去には反対する」ことを表明したとのこと。

高金素梅、国民党による今回の愚行は、原住民の信頼を失うことになるのは間違いない。

(※詳しい状況はブログ「台湾生活」、関係団体の表明文を参照ください。)

【引用】 現地レポートー高砂義勇隊記念碑のその後

台湾研究フォーラム事務局長  古市 利雄

高砂義勇隊英霊記念碑そのもの撤去こそ免れたものの、それは見るも無残なありさまだった。
先週訪れた際には既に日本国国旗、高砂義勇隊隊旗、そして中華民国国旗も片付けられていたが、それでも英霊の存在を感じ取ることのできる、畏怖の念を抱かせるような雰囲気を保っていた。

しかし1週間が過ぎた25日に訪れると、日本側から奉納された記念碑はほぼ撤去されており、日本語の碑文を「日本語である」との理由で隠すため、ベニヤ板で覆われた高砂義勇隊慰霊碑の姿が、私の目に飛び込んできた。
それはその場に膝を落としてしまうほどの、全身から力が抜け切るような衝撃だった。

高砂義勇隊慰霊碑に鎮座する原住民の銅像と、数年前に記念碑周辺施設の補修資金を日本で募金した功労者、故伊庭野政夫氏の胸像は、姿はまだ見ることができるものの、銅像の下の台座となる碑の側面はベニヤ板で覆われ、碑文の内容は確認できない。

私にはそれが高砂義勇隊の御霊を慰めるものではなく、ただの芸術作品になり下がってしまっていたとしか思えなかった。いや醜いベニヤ板で覆われてしまっては芸術ですらありえない。

撤去された八基の碑が置かれていた場所には、まだ真新しい芝生が植えられていた。撤去を免れたものは、台湾側から送られた鎮魂碑、それが何なのか理解できなかったのだろうか、さざれ石だけであった。

私は日本人として高砂義勇隊の英霊をお守りすることができなかったことを、お詫び申し上げるために慰霊碑の前で手を合わせた。そして原住民と台湾をお守りください、と。

さすがに工事関係者も英霊を恐れたのだろうか、ユリの花と米酒が供えられていた。揚げ足をとりたくなるが、その米酒も高級感がある酒瓶などではなく、ペットボトルの容器で本当に中身は米酒なのか疑いたくなるような代物だった。
また覆う板も寸法があっておらず、隙間だらけで覗き込めば内容を読み取るのは難しいが碑文の存在はわかる、いい加減な「作品」だ。

周錫[王韋]台北県長はこの英霊への冒涜行為をわかっているのであろうか。周氏にとっては高砂義勇隊の英霊などよりも、中華民族に対する「冒涜行為」の方にしか関心がないのであろう。英霊をも恐れないというのであるならば、自ら現場で撤去の陣頭指揮をとって見届けたらどうなのであろうか。

確かに慰霊碑の側面には台北県政府が指摘した「皇民」などの日本語の記述もあり、県政府の主張に沿えば「問題」となるであろう。しかし慰霊碑の正面には李登輝前総統が揮毫した「霊安故郷」の碑文があるのだが、それも覆われてしまっている。

台北県政府は専門家の意見を参考に対応を検討するとしているが、高砂義勇隊の御霊を慰めるために揮毫した、台湾人の李登輝前総統の碑文をなぜ隠すのか。また日本語の記述の多さも問題としていたが、「君が代」を中国語訳した碑などもなぜ撤去するのか。
それはつまり事の理由に過ぎず、台北県政府は遺族である高砂義勇隊記念協会と義捐金を送った日本人の歴史観が気に入らなかったことが、またここでも証明された。そして李登輝氏批判への思惑も見え隠れする。

日本時代、台湾各地に建立された神社のほとんどは「外省人」によって破壊され、日本語の記述は削られ、コンクリートで塗りつぶされた。日本人の足跡は消されてしまった。
都合が悪い歴史を破壊、抹消するのが中国文化なのだと、私は改めて感じ恐怖を覚えた。しかし、そうした国民党の恐怖政治の時代に逆戻りするかのような事態が、民主化された現在の台湾でおこってしまったのである。しかもそれは法律に則った体裁をとろうとしているので、余計に性質が悪い。

私は同じ日の午前に、国民党の主催で行われた二二八事件の追悼式典も見に行った。

二二八紀念館で解説員を務める肅錦文氏が、遺族代表で挨拶をされた際に、ウライの慰霊碑の撤去事件についてふれた。肅氏はそれまで台湾語(ホーロー語)で話していたのを、急に中国語(北京語)に切り替えて「自由と民主を否定するような、時代を逆行させる行為は絶対に行ってはならない」と、馬英九氏をはじめとした国民党の要人を前に、マイクを持つ腕が興奮のあまり震えるほど語気を強めておっしゃった。私にはそれが中国人に対する、台湾人の決意声明に聞こえた。

慰霊碑撤去事件について「外省人」を刺激するような材料をみすみす与えてしまった、と批判するのは簡単だ。だが主義主張に偏りがあったとしても、撤去された数々の碑は日本人がまったくの善意で贈ったものである。原住民側がそれを断るわけにはいかないだろう。善意に対してすらも中国人の狡猾さを警戒しなければならないのか。
それは原住民に「中国人になれ」と要求していることではないだろうか。日本人に非があるというならば「日本人よ、中国人になれ」ということなのか。非難されるべきはこの「外省人」の横暴であろう。

高砂義勇隊紀念協会の簡福源理事は先週お会いした際に、こうおっしゃった。
「善意に感謝することができないから台湾はいつまでたってもダメなんだ」

まさにこれが「日本精神」なのだろう。中国人化教育を受けた台湾人を目覚めさせる、ひとつの鍵は日本語世代が宿した「日本精神」にあるのではないか。日本人の私はそう思う。  

(※リンクはブログオーナーによる)

このエントリーへのリンク

このエントリーのリンクを入れるHTML:

トラックバックURL (スパム防止のため、ブログオーナー承認後の表示となります)

このエントリーのトラックバックURL:

トラックバック

» 高砂義勇隊記念碑撤去 from 拾い猫日記
高砂義勇軍記念碑撤去の後のレポートが『BLOG ASIA』さんのところにある。 [Read More]

» 【廻って】お題バトン・台湾について【キタ━━(゜∀゜)━━!!!】 from 私の「認識台湾」
【写真:太魯閣(タロコ)峡谷】・・・・「花蓮って名前が洒落ているな、そこに行ってみるか!」といったノリでしたが。 [Read More]

» 高砂義勇隊記念碑撤去命令 from 日々是桜
台湾の高砂義勇兵慰霊碑撤去命令が出されたのは今年の2月。最終的に「皇民」など日本語が入った石碑八基のみの撤去の“妥協案”で決着。 しかし、テキストで... [Read More]

コメント

こんにちは!肅錦文さんってあぁ、総統府の見学の際にガイドでお世話になりました。内容は「大日本帝国台湾総督府の解説」でしたが。(笑)
「午後から烏來に参るんですよ」と申しましたら、とても喜んでくださったんですけどねぇ。
お歳は李登輝さんと同じくらいでしたが、まぁ、若い! 概して台湾の「旧同胞」は若いですよね。戦中派は気合が違うのかもしれません。(汗)

>tsubamerailstarさん、なんだか時の流れにピッタリ符合するように旅ができたんですね。
228記念館では何人ボランティアの方を置いているんでしょうか。とってもすごいことですね。何回か行ってるのですが、まだ一回も旧同胞のボランティア解説の方には遭遇したことがないんです。

こんにちは、拙文を掲載してくださいましてありがとうございました。今回のウライの件は本当に許せない出来事でし、考えるより先に体が行動していた感じでした。これからも台湾を応援してください。日台共栄のためにお力添えをいただければ、幸いです。

>古市さん、コメントありがとうございます。まさか、ご本人からコメントつくとは思いませんでした。ありがとうございます。
移設が日台の友情と浄財、熱意でできたばかりだけに、全く許せないというより悲しいことです。
今後もきちんとウオッチしていきたいと思っています。

tsubamerailstar さん、TBありがとうございました。

tsubamerailstar さんからのTB「【廻って】お題バトン・台湾について【キタ━━(゜∀゜)━━!!!】」への連繋は下記サイトにさせていただきました。
http://blog-eda.net/kakikaki/2006/03/10-175408.php

2006年9月7日,高砂義勇隊記念碑に,お参りに言ってまいりました。
このたび,日台の歴史を学ぶべく,初めて台湾を訪問しましたが,ベニヤの上に竹をうちつけて隠された記念碑に愕然といたしました。
元日本兵として,日台のために戦い,死んでいった人々に,せめて感謝と哀悼の意を表したいと思ったのですが。。。
非常に残念でした。

>植田さん、お疲れ様でした。まだベニヤで囲ってあるんですか・・・・本当に残念なことです。

でもこうして初めての台湾でお参りに行ってくださる方がいらっしゃって嬉しいです。

コメントする

(コメントはスパムコメント防止のため、ブログオーナーの承認が必要になります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)